HIGHLIGHTS
目的と価値観
プラダ・グループの本社を構成する複数の建物は、ミラノのベルガモ通りとフォガッツァーロ通りの間の10,000㎡以上におよぶ敷地にあります。外観の建築的特徴を残しながら、内部には経営・事務部門、スタイリングおよびデザインオフィス、工房、ファッションショースペースなど、プラダ・グループの必要条件に合った施設を設けています。
装飾的要素を排した機能的で不可欠な環境をつくることを目指しました。システム、什器、ディテールは各機能に応じてデザインされました。スペースとその機能の定義に際しては、自然光が1つの要素になっており、人工照明は個別のオフィスの必要性に応じて随時計画に取り入れました。約4年間の工事(1996~2000年)の結果、エレガントで機能的な什器備品を備えた、広々とした明るいスペースが完成しました。
2000年にミラノのVia Fogazzaro 36にオープンしたスペースは、さまざまなコミュニケーション言語、プラダの定期的なショーのステージ、そして時にはプラダ・グループの様々なイベントのための会場として設計されました。このスペースでは、プラダ財団の過去の活動、特にコンテンポラリーアートと建築の展示、カンファレンス、フィルムフェスティバルなども開催されてきました。
各イベントの複雑さと構造的な多様性を考慮して、スペースの改修の可能性を最小限に抑える工夫も施されました。そのため、12世紀初期に建てられた建物のもとの外観を忠実に保存し、仕上げを最小限に抑え、化粧しっくいを施した部分や修復された部分をむき出しのままにして、既存のコントラストの効いた装飾を強調しています。
工業用セメントのフローリングは、独特の巨大なサイズと削ぎ落とされたミニマリズムとともに、その場所の元の特徴を前面に出すことによって意図した効果を強調しています。この施設を訪れる人々がもつ印象は、施設の顕著な中立性が大きく影響します。この場所は柔軟性のある、さまざまなニーズに対応し用途ごとに発生する建築的な要望に対してオープンな場所として存在しています。
元は工業用スペースとして使われていた建物が、のちに銀行記録の保管庫として用いられるようになりました。48×29メートルの区画は表面積約1,400㎡、最大の高さは6メートルにわたります。高さ約5メートルの柱が平行六面体の中心の主軸に沿って立ち並び、同じ柱の連続によって形成された形状と交差して、側面の大きな分円アーチを造形しています。
建物の内部構造は11の仕切り部分から成り、最初の仕切り部分は現在、階段と出入り用の傾斜路の両方を備えた約165㎡の入口ロビーとなり、補助スペース専用のエリアが約630㎡あります。